志望動機とは?
志望動機とは主に「企業に入社したい理由」のことで、就活において企業から問われることが多い質問の1つです。
基本的には企業に入社したい理由のことを指しますが、その企業が属する業界に興味を持った理由を併せて聞かれることも多いです。
志望動機を聞く目的
志望度を確認する
企業(特に人事部)は目標の採用人数を確保することと入社後も長期に渡り企業に貢献する人材を採用することを目的としています。そのため、企業は内定辞退者が多かったり、入社後に採用者のパフォーマンスが低下してしまったりする事態を防ぐ必要があります。
企業は内定を辞退されてしまうことを防ぎ、入社後も高いモチベーションを維持できる人材を確保するために、就活生の志望度を確認するわけです。
価値観を確認する
志望動機を聞くことで、どのような点に魅力を感じるか、入社後に何を実現したいかを確認しています。企業の価値観と就活生の価値観が一致していないと、入社後に期待するパフォーマンスを発揮できる可能性が低くなります。入社後にモチベーションの低下や周囲と協調できない事態が起きないかどうかを知るために、企業は志望動機を通じて、価値観を確認しています。
イメージと事実のミスマッチを防ぐ
企業は志望動機を聞くことで、「就活生が企業に対して持っているイメージ」と「事業内容の理解度」を確認しています。就活生の認識に事実と異なる点があれば、企業は事前に認識を訂正することで、入社後に感じるギャップを軽減します。就活生が企業に対してより正確なイメージを持つことで、短期退職を防ぐことにつながるためです。
入社後、配属の参考にする
企業は採用活動が終わると、採用者の配属先を決定していきます。様々な条件・要素(←企業ごとに異なります)を基に、各企業が配属先を検討します。配属先を検討する際に、判断材料の1つとして、面接時の志望動機が利用される場合があります。
志望動機のアピールタイプ
志望動機は、アピールするポイントによって、以下の3つのタイプに分けられます。
- 事業内容・仕事内容に惹かれたことをアピールする場合(以下、事業内容型とする)
- 社員の考え方や価値観に惹かれたことをアピールする場合(以下、社員型とする)
- ビジョンに惹かれたことをアピールする場合(以下、ビジョン型とする)
▼事業内容型のメリット・デメリット
・メリット → 社内全体に共通する内容であり具体性が高いため、ミスマッチが発生しにくい。
・デメリット → 志望する企業の事業内容によっては、競合他社と差別化しにくい場合がある。
▼社員型のメリット・デメリット
・メリット → OB訪問の経験等、志望度の高さをアピールしやすい。
・デメリット → 特に大手企業等の場合、出会った社員と面接官の考え方や価値観が異なっている場合がある。OB訪問・説明会の参加等、行動量が必要になる。
▼ビジョン型のメリット・デメリット
・メリット → 企業ごとに個別の内容であり、競合他社との差別化をしやすい。
・デメリット → なぜこの業界なのか?という問いとの一貫性が低く、業界の志望理由と別で整理する必要がある。
複数のタイプを組み合わせて、ハイブリット型で考えることもおすすめです。ハイブリット型で考える場合は、面接官に整理が出来ていないと思われてしまわないように、できる限りシンプルな組み合わせにしてください。
本記事では、事業内容型を例に説明していますが、他のタイプでも共通する部分は多いはずなので、ぜひ参考にしてください。
志望動機の考え方(事業内容型)
仕事を通じて何を実現したいのか?
あなたが仕事・キャリアを通じて、実現したいことを整理します。仕事で実現したい理想を最終目標として逆算していくことで、一貫性を保ちやすくなります。
仕事で実現したい理想を考える方法は2パターンあります。
- あなたが感じた悩み・苦労から考える
- あなたが助けられた経験から考える
上記を起点にスケールを拡大していくと、仕事で実現したいことにつながる可能性が高いです。
例えば、自分が感じた悩み・苦労から考える場合は、「コミュニケーションが苦手で友達を作れない」という悩みから「同じように友達が作れていない人同士をつなげるサービスを作りたい」という想いにつながるかもしれません。
助けられた経験から考える場合は、「足を骨折しているときに、宅配サービスのおかげで助けられた」という経験から「足の不自由な老人が多い地域に宅配サービスを広げたい」という想いに変わるかもしれません。
このように、あなた自身が実際に感じた悩み・苦労や助けられた経験は仕事を通じて実現したいことを探す際のヒントになる可能性が高いです。
なぜ実現したいと思ったのか?
仕事を通じて実現したい理想が見えてきたら、なぜその理想を実現したいと思ったのかを考えていきます。
仕事で実現したい理想は、長期間に渡って取り組むことになる目標です。面接官に説明する際に、当事者意識・実際の体験に基づく理想でなければ、モチベーションを維持していくことは困難だと思われてしまいます。
あなたが伝える内容に説得力を持たせるために、仕事で実現したいこととセットできっかけ・背景となる経験を整理しておくようにしましょう。
※理想を持ったきっかけ・背景となる経験については、前項の仕事を通じて何を実現したいのか?で
既に整理できている方はそれを使っていただいてOKです。
なぜその業界なのか?
あなたの理想を実現するために、志望する業界が最適である理由を考えていきます。
あなたの理想を実現する手段は1つではないかもしれません。複数の手段がある中で、この業界の技術・ノウハウを利用することが最適である理由が整理されていると、面接官からの指摘・質問に対応しやすくなります。
面接官になったつもりで考えてみましょう。
あなたの理想と業界の関係性に対して、「他の手段・業界でも実現できるのでは?」と疑問を投げかけます。納得できる理由を作れたら、「その理由なら○○の(他の)業界の方が最適では?」と繰り返し投げかけていきます。疑問が出ないところまで問い続けることができれば、業界の志望理由は整理できているはずです。
このように、理想と手段(業界)の一貫性があるかどうかを事前に整理しておくことで、実際の面接で指摘された場合に自信を持って回答することができるようになります。
なぜその企業なのか?
業界の志望理由を整理出来たら、最後にその業界の中で、なぜその企業があなたにとって最適であるかを考えていきます。
どの業界にも様々な企業が存在しており、その中で特定の企業を志望することになるため、同じ業界の競合他社と差別化する理由を整理しておく必要があります。特に、企業側は採用後に内定を辞退され、競合他社に就職してしまうことを懸念していることが多いため、説得力がある根拠を用意しておくことが重要です。
志望する企業は取り組んでいて、競合他社は取り組んでいない事業、もしくは、業界内で志望する企業が最もシェアを獲得している事業を探しましょう。競合他社にない事業、最大シェアを獲得している事業は企業の特徴になります。
企業の特徴が仕事を通じて実現したい理想に必要であることを説明できると説得力が増します。どうしても企業の特徴が仕事を通じて何を実現したいのか?で整理したあなたの理想と紐づかない場合は、再度、企業の特徴と紐づくあなたの理想を探すようにしましょう。
志望動機の書き方・構成
志望動機を説得力を持って伝えるコツは掛け算です。
志望動機の考え方(事業内容型)で整理した内容をもとに、以下の式を意識して書いてきます。
あなたの理想 = なぜその業界なのか? × なぜその企業なのか?
書き方を具体的に見ていきます。
その企業を志望した理由
相手に伝える際には結論から伝えると、相手に理解してもらいやすくなります。
志望動機における結論とは、なぜその企業なのか?で整理した「あなたが魅力を感じる企業の特徴」のことです。最初に伝える結論は、後から詳細を肉付けしていくために、端的に伝えることを意識します。「貴社の○○に魅力を感じて、志望しました」という流れでまとめましょう。
1~2文程度でまとめるのがおすすめです。
志望理由に関わる背景・経験 & 入社して実現したいこと
企業の志望理由につながったあなたの理想(入社して実現したいこと)と理想を持ったきっかけとなる経験を伝えていきます。
「○○な経験で□□と感じたことから△△を実現したいと考えました」という流れで、簡潔にまとめます。特に経験の部分は長くなってしまいがちですが、面接で問われることが多いので、文面で書く際には、面接で詳細に説明する前提で概要だけを簡潔に伝えるようにしましょう。
2~3文程度でまとめるのがおすすめです。
その企業だからこそ、実現できると考える根拠
過去の経験や背景を絡めてあなたの理想を伝えた後で、改めて結論を伝えていきます。
最初に伝えた結論では、「なぜ企業のその部分に魅力を感じたか?」という理由を述べていないので、ここで改めて結論と結論に至る理由を書いていきます。
結論に至る理由とは、「企業の特徴とあなたの理想の関係性」のことです。なぜその企業なのか?で整理した内容を参考に、「貴社の○○な事業に携わることで、△△な形で□□を実現することができると考えています」という流れで、まとめていきます。
1~2文程度でまとめるのがおすすめです。
入社後、あなたがどのように貢献していくか
最後に、「入社した後、あなたがどのように行動するつもりであるか」を伝えましょう。
過去の経験も大切ですが、それ以上にこれからの仕事への取り組み方は重要です。入社した後にどのように働き、企業の成果に貢献していくかを伝えることで、入社後に成果を期待できることをアピールします。
入社後のあなたの行動を示す際には、志望動機に書いた過去の経験から再現できる部分から考えるようにしましょう。「○○の経験で得た学びを活かして/○○の経験と同様に、貴社においても△△の形で仕事に取り組んでいきたい」という流れで、まとめていきます。
1~2文程度でまとめるのがおすすめです。
まとめ
新卒の就活において、志望動機が思いつかないことはよくあります。志望動機はあなたと企業の接点を探しアピールする場なので、思いつかない場合はできる限り機械的に探していくようにしましょう。
▼志望動機を聞く目的
・志望度を確認する
・価値観を確認する
・イメージと事実のミスマッチを防ぐ
・入社後、配属の参考にする
▼志望動機のアピールタイプ
・事業内容型
・社員型
・ビジョン型
▼志望動機を考える手順
1.仕事を通じて何を実現したいのか?
2.なぜ実現したいと思ったのか?
3.なぜその業界なのか?
4.なぜその企業なのか?
▼志望動機の書き方・構成
1.その企業を志望した理由
2.志望理由に関わる背景・経験 & 入社して実現したいこと
3.その企業だからこそ、実現できると考える根拠
4.入社後、あなたがどのように貢献していくか